DTM基礎知識

ミキシング=バランス バークリー式・はじめ方

こんにちは!

今日も、ロスでコツコツと、音作りに励んでる、Takeshiです。

簡単ですが、ミキシングの話についてです。

バークリー音楽大学では、どうミキシングを教えてるのか

先日こんなツイートをしました。

補足的に、もうちょっと詳しく説明したいと思います。

ミキシングっていうと、いろいろ難しいイメージがあるかもしれません。

難しく、実際に、答えがない、のは事実です。

でも、始めるに当たって、ポイントはあります。

ミキシングって、簡単に分けると、4つのことをするんです。

そして、バークリー音楽院で学ぶ、その学び方の順番を説明したいと思います。

まず始めに、ミキシングって何をするのか。それは、バランスを整えることです。

ミキシング=バランス

DTMを始めた時は、トラック数の数が少ないと思いますが、慣れていくと、どんどん増えていきます。

実際、僕がリリースした、Summer Loveという曲のトラック数は、80くらいでした。

最初のデモは4トラックくらいでしたが。。。どんどん増えちゃうんですよ。ふえるワカメちゃんみたいに。。。

完全にすべりました。笑

さて、ミキシング=バランスという考え方を前提に、4つのプロセスを見て行きましょう。

  • Level レベル・ボリューム

  • Frequency 周波数

  • Stereo Field (Left, Center, Right) ステレオフィールド

  • Depth 奥行き

ミキシングの作業は、この4つに分類されます。

何かしっくりこない時は、このリストの中で、できることを探すのが、基本になります。

じゃあ、どうやってスタートすればいいのか。

僕がバークリーで学んだ順番が、以下の通りです。

  1. ボリューム

  2. パン

  3. EQ

  4. コンプ

  5. リバーブ

  6. ディレイ

1. ボリューム 2. パン

まずトラックのボリュームを使って、バランスを取ります。

そして、パンを使い、各トラックの、配置を決めます。

この作業で、かなり形になる、ってとこまで持っていくのが、ポイントです。

ボリュームについては、かなり細かく、トラックの波形を見ます。

波形を編集したり、ボリュームのオートメーションをかけて、出来るだけ、音量が、曲を通して、スムーズになるように、処理します。

ちなみに、バークリーでは、2週間くらい、このヴォリュームとパンだけで、ミックスする、という課題がでます。

レベル・ボリュームについて、バークリーの授業で、こんなことがありました。

ベースのトラックの2つを聴き比べたんです。同じトラックで、違うミキシングの処理の仕方をしている、というものでした。

どっちのトラックがいいか、クラスが、半々くらいに分かれました。

先生が、ニヤニヤしながら、どうミックスしたか、教えてくれました。

『AとBのトラックで、違うのは一つ。Bの方が1dB大きい。それだけだ。』

この1dBの差が、クラスを二分化する、違いだったんです。

ミキシングとなると、いろいろな、プラグインを挿入して、大胆に音を変えていくイメージを、持っている人が多いんですけど、1dBの差で、意見が割れるくらいの差が生まれるんですよね。

最初は、こんなボリュームだけで、なんかミキシングしてる感がない、と感じると思います。

でも、まずは、ボリュームからです。ボリュームとパンしか使えなかったら、どうするか、というのは練習になると思います。

1dBのボリュームの差は、印象を変えるほど、大きい場合がある

 

3. EQ

EQは、イコライザーの略で、周波数をイジって、音を整えるものです。

いらない低音をカットしたり、ミッドレンジをブーストしたり、耳障りなレゾナンスを大胆なQで取り除いたり、また、高音をブーストして”air=空気感”を演出したりします。

細かい説明は、今後、また機会を作ってやりたいと思っていますが、EQ処理のポイントをいくつか紹介します。

1. EQはカットをしてからの、ブースト

最初は、カットからのブーストを基本にするのが、ミスを防ぐ方法だと思います。

例えば、低音はキックとベースだけを残して、残りはざっくりカットするのが基本です。もちろん、全てのトラック!ではないですが。

例えば、ギターの低音がベースと割とかぶってしまったり、ピアノ、ヴォーカルの低音が強いトラックなどに、効果的です。

これだけで、トラックがかなりスッキリする、ということに繋がると思います。

そして、ミックスに色をつけるために、各楽器の持ち味を引き出す気持ちで、ブーストします。最初は3dBくらいのブーストをリミットにすると、いいと思います。

2. それぞれの楽器が、最も輝く周波数を見極め、スペースを作る

一番使われるのが、キックとベースの関係ですね。

例えば、キックの80Hzをブーストして、その分ベースの80Hzをカット。そうやって、お互い、邪魔をしない、自分のスペースを見つけることができます。

もちろん、これは、いつも使えるトリックではないのですが、引き出しの中に、テクニックとして入っていると、いつか役に立つと思います。

バークリーで学んだ、周波数別のいい点、悪い点

楽器別のレンジや、注目すべき周波数のグラフ

EQの基礎知識については、以前ツイートしたので、併せて載せておきます。

 

4. コンプ

コンプレッサーは、トラックの強弱のダイナミックをコントロールするエフェクトで、Dynamic Processorと呼ばれる種類の一つです。

ヴォリューム→パン→EQ→コンプという順番で学んでいくと、スムーズにいくと思いますし、バークリーでもこの順番でした。

Dynamic Processors

  • Compressors and Limiters

  • Gates and Downward Expanders

  • Upward Expanders

  • De-essers

  • Duckers

  • Multiband Compressors

  • Transient Re-Shapers

これもツイッターからなのですが、コンプの基礎について、ツイートがあるので、参考にしてください。

コンプのセッティングのスタート地点

レシオ2:1~3:1

アタック 20ms

リリース 150ms~250ms

スレッシュホールドで、ゲインリダクションが3~6dBくらいになるように調節

5リバーブ

残響を付加するエフェクトです。リバーブの種類には、大きく分けて、2つあります。

1. Convolution Reverb (コンボリューションリバーブ)

実在する、アコースティックスペースをモデルとしたエフェクトで、よりナチュラルな響きを得ることができます。まさに、そのスペースにいるかの様な錯覚を覚えるくらいです。

これは、実際にそのスペースで、リバーブをレコーディングしたものから、インパルスレスポンスというデータを採取して、それを他の録音に適用するものです。

Altiverbが、最も有名なコンボリューションリバーブだと思います。

2. Algorithmic Reverb (アルゴリズミックリバーブ)

こちらは、実際のレコーディングではなく、アルゴリズムを用いた設計で、かなりフレキシブルに設定が可能です。デジタルリバーブとも呼ばれます。

Lexicon 224、EMT 250が王道ではないでしょうか。

この他には、アナログのSpring ReverbPlate Reverbなどがあり、リバーブとは言っても、色々な種類があるんだ、という感じで覚えてると、いいと思います。

ホール、ルーム、チャンバーなどもあり、リバーブの種類は、かなり豊富です。

王道として、ギターはSpring reverb、ヴォーカルはPlateなどと言われます。バークリーもそんなスタートでした。

でも、残響系エフェクトは、本当に、ケースバイケースなので、是非、DAWに入っているものをどんどん試して、ミックスしてみるのがオススメです。

パラメーターなどに関しては、AUXトラックの設定の仕方なども含めて、今後詳しく解説したいと思いますが、基本のカテゴリーがこちらです。

Size – Room Sizeを設定して、どの空間にいるのかを調節します

Reverb Decay Time – 残響が徐々に消えて無くなるまでの時間

Pre-Delay – 音が鳴ってから、最初のリバーブ音までの時間

Early Reflection – 一番最初に聞こえる残響反射音の音量

Mix – WetとDryシグナルのバランス

6. ディレイ

ディレイはTime-Based Effectの一種で、反響音をシュミレートする空間系エフェクターです。

バークリーでもらったディレイのカテゴリーリストを作ったので、英語ですが、ここから解説したいと思います。

この表を見ていただければ、Delay Timeでエフェクトの種類が変わることが、分かっていただけるのではないでしょうか。

まず、ディレイとモジュレーションエフェクトの違いについて。

ディレイ 

長いディレイタイムで、音を反響させることで、その反響音の繰り返しによって生まれるエフェクト

 モジュレーション

ディレイタイムが短いことでできる、揺れ系のエフェクト

エコー

最も代表的なディレイ。山で、おーい!って叫ぶと、ぉーぃ、って返ってくるやつです。ディレイタイムが長いので、より大きなスペースにいる錯覚に陥ります。

ちなみに、サッカースタジアムくらいの大きさをエコーで表現すると、600msくらいです。ヴォーカルに使うと、でっかいハコで歌ってる感じになります。

スラップバック

エコーを短めに設定したのが、このスラップバックです。小~中くらいの、何もない部屋にいるかの様な、感覚を得ることができます。75ms-125msくらいのセッティングで、フィードバックは超ショートに。

ダブリング

このディレイの使い方は、ヴォーカルや、楽器がまるで、2トラックあるかの様なエフェクトが欲しい時に使います。ヴォーカルがメインの1トラックしかなく、コーラスでもっとパンチが必要な時や、ギターのダブルが欲しい時に、使えるテクニックです。

フランジャー

ギタリストの僕は、ヴァンヘイレンを想像しちゃうエフェクトです。笑 コムフィルタ(comb filter)という、フィルタリングをかけ、それがLFOのディレイタイムの移動と重なり、低音から高音をスイープするかの様に聞こえるエフェクトです。音のアクセントとして、使えると思います。

コーラス

名前の通り、一つの音が、あたかもアンサンブルの様に聞こえるエフェクトです。フランジャーと一緒で、ディレイだけではなく、LFOのプロセスが入ることで、ピッチを変えます。

 

さて、かなりざっくりと、ここまでミキシングについて、見てきました。

ミキシングはバランスを整える作業だ、という基本的な考え方。

そして、そのプロセスと、どの順番で学んでいけばいいのか、を非常に簡単ですが、解説しました。

すごいスピードで駆け抜けてきたので、説明不足な点が各所あったと思います。

今後、ゆっくり、できれば、実際に音と、プラグインを使って、一つずつ解説できたら、と思ってます。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

Happy Mixing!

Takeshi 

 

 

 

ABOUT ME
malibusoundvibes
バークリー音楽大学卒業の作曲家です。 ロサンゼルス在住で、アメリカの製作会社に属しながら、テレビ用の曲を書いています。 ブログもやっています。 ギターもちょこっと弾きますよん。
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